【企業向け】安全運転に必要な取り組みとは?対策事例を解説 自動車・安全運転 2025.08.27 従業員の移動に車を使用する場合、事故を起こさないよう安全運転を徹底してもらう必要があります。そのためには、企業としても安全運転のための取り組みに力を入れることが必要です。この記事では、安全運転の重要性や企業としての取り組みのポイントなどを解説します。具体的な事例も紹介するので、ぜひ役立ててください。 パンフレットを見る> 目次 交通事故が起こる原因とは 安全不確認 わき見運転 動静不注視 漫然運転 運転操作の不適 交通安全の心得「安全運転5則」の概要 1.安全速度を守る 2.カーブの手前でスピードを落とす 3.交差点で安全を必ず確認する 4.一時停止を意識して横断歩行者の安全を守る 5.絶対に飲酒運転をしない 安全運転に必要な心構え 運転に集中する 自分の運転を過信しない 交通事故のリスクを理解する 【企業向け】安全運転を実現するための一般的な取り組み 過去の事故から学ぶ 従業員の安全運転の意識・運転技術を把握する 交通安全啓発・啓蒙活動を行う 安全運転講習会に参加する 安全運転に取り組む際の注意点とは まとめ 交通事故が起こる原因とは そもそも、交通事故 は なぜ起こるのでしょうか。ここでは、交通事故が起こる原因について解説します。 安全不確認 交通事故の主な原因は、安全の確認が不十分であったことです。例えば、運転者が一時停止や減速をしたにもかかわらず交通事故が発生した場合、周囲の確認が適切に行われていなかった可能性があります。事故を未然に防ぐためには、交通ルールを守るだけでなく、優先判断や立場に応じた安全確認をする必要があります。 わき見運転 わき見運転とは、前方や周囲の交通の状況に対する注意が不十分な状態をさします。例えば、スマートフォンを操作しながら運転したり、運転中に外の看板や景色に気を取られたりした場合などです。 動静不注視 動静不注視とは、相手当事者を発見(認識)したものの、具体的な危険がないことを理由に、相手当事者の動静に対する注視を怠ることです。安全不確認と似ていますが、それぞれには明確な違いがあります。安全不確認とは、安全確認そのものを怠ることです。一方、動静不注意とは、相手を認識(確認)しているものの、注視の判断を誤ってしまうことです。 漫然運転 漫然運転とは、運転とは関係ない別のことを考えていたり心配ごとがあったりするために、運転に集中できていない状態のことです。運転に慣れている人は運転中につい考え事をしてしまう場合も多く、漫然運転で交通事故を引き起こす可能性があります。 運転操作の不適 適切ではない運転操作をした結果、交通事故を招くパターンもあります。例えば、ハンドルの操作ミスやペダルの踏みまちがいは、代表的な運転操作の不適です。自分の想定と異なる動作が起きたことでパニックになり、大きな事故につながってしまうこともあります。 交通安全の心得「安全運転5則」の概要 交通安全の心得として、交通安全教育や企業の運転指導などで広く使われている「安全運転5則」が有名です。くわしく解説していきます。 1.安全速度を守る 交通安全のためには、安全な速度で運転することが重要です。安全速度で運転するためには、時間に余裕をもち、無理無謀運転、速度超過、妨害運転(あおり運転)などをしないことがポイントとなります。 なお、安全速度はあくまでも状況に応じて適切な速度で運転することを目的としているため、法定速度や制限速度より低速での走行を求められる場合もあります。 2.カーブの手前でスピードを落とす カーブを曲がる際は、遠心力で車体が外側に膨らむことがあるため、カーブの手前では十分に減速し、遠心力によって車線をはみ出さないようにしましょう。 3.交差点で安全を必ず確認する 交差点は事故が起きやすい場所であるため、より慎重に安全を確認する必要があります。また、信号機や優先関係などを見落とさないようにするだけでなく、対向車や歩行者・自転車の有無、車両や歩行者などの動きを把握し、適切な速度と正しい方法で通行することが大切です。 4.一時停止を意識して横断歩行者の安全を守る 横断歩道の手前では、すぐに止まれるよう速度を十分に落とし、横断歩行者がいないか念入りに確認しましょう。また、歩行者は横断歩道がない場所を渡ろうとすることがあるため、横断歩道以外の場所でも気をつけなければなりません。加えて、歩行者の通行が多い場所(住宅街・路地・学校付近など)では、歩行者をいち早く発見できるよう、周囲に目配りをしながら慎重に通行しましょう。 5.絶対に飲酒運転をしない アルコールを摂取して運転すると、判断力や集中力が低下し、正常な判断ができなくなります。飲酒運転は、自分の命だけでなく他人の命を奪う可能性のある重大な犯罪です。 いかなる理由があっても絶対にしてはなりません。 安全運転に必要な心構え 安全運転をするには、運転者の心構えが重要です。 ここでは、どのような心構えをしておくことが必要なのか解説します。 運転に集中する 安全に運転するためには、運転そのものに集中する必要があります。また、周囲の環境や状況に対して常に意識を向け、いつ何が起きても迅速に対応できるようにしておくことが重要です。さらに、走行中はたえず環境や状況が変化します。何かが起きるかもしれないという意識を常に持って運転することも大切なポイントといえるでしょう。 自分の運転を過信しない 運転操作に慣れている場合でも、自分の運転を過信しないよう気をつけましょう。いくら運転が得意だとしても、事故を起こすリスクはゼロではありません。自分の運転に対して慢心していると、集中力や注意力を欠く原因にもなります。どのようなときも、適度な緊張感をもって運転することが大切です。 交通事故のリスクを理解する 交通事故を起こすと、法的な罰を受けるだけでなく、精神的・肉体的な負担を強いられたり、社会的な信頼を損なう可能性もあります。運転者は、事故そのものだけでなく、事故後に生じるさまざまなリスクについても十分に理解しておくことが重要です。 【企業向け】安全運転を実現するための一般的な取り組み 従業員が安全運転を続けるためには、企業としての取り組みも必要です。ここでは、一般的な取り組みについて解説します。 過去の事故から学ぶ 自社で過去に交通事故が発生している場合は、その傾向を把握することが重要です。事故の要因となった運転行動を分析し、必要に応じて講習の受講や運転適性検査の実施などを通じて、問題行動の是正に取り組む必要があります。 従業員の安全運転の意識・運転技術を把握する それぞれの従業員の安全運転に対する意識・運転技術・心身の状態について個別に確認し、安全運転ができる状況か、運転技術と精神・体力の両面に不安な点がないかなどをチェックしておきましょう。適切な業務配分をすることで、事故の未然防止につなげることが可能です。 交通安全啓発・啓蒙活動を行う 従業員の交通安全に対する意識を高めるためには、啓発・啓蒙活動も効果的です。例えば、ヒヤリハットマップを作成して従業員に共有すれば、従業員の安全運転に対する意識改革や運転中の注意点の把握などにつながります。 安全運転講習会に参加する 従業員に安全運転を促す取り組みの一環として、安全運転講習会への参加がおすすめです。講習会は、自動車の特性に関する知識の習得や運転技術の向上を目的としています。警視庁や日本自動車連盟(JAF)などの機関が実施しているので、実施概要や講習内容を事前に確認し、目的に合った講習への参加を検討しましょう。 (事例)運送会社による警視庁の企業四輪交通安全講習会への参加 運送サービスを提供している悦興運は、警視庁が主催する企業四輪交通安全講習会に参加しています。この講習では交通安全に関する講話が行われているだけでなく、運転適性検査も実施されています。また、緊急ブレーキや危険回避などの体験も可能です。 この講習会への参加は、安全運転について従業員が考えるきっかけとなり、運送の品質の向上に役立っています。 安全運転に取り組む際の注意点とは 企業として安全運転への取り組みを実施するにあたり、注意すべき点があります。 それは、たとえ他社の成功事例を参考にして同様の施策を導入したとしても、自社ですぐに効果を実感できるとは限らないということです。従業員の安全運転に対する意識や運転技術は、対策を講じた直後に飛躍的に向上するようなものではないため、時間をかけて育成・定着させていく必要があります。安全運転への取り組みは、継続的かつ長期的な視点で実施することが重要です。 まずは取り組みの重要性を従業員によく理解してもらい、従業員自身が自ら安全運転を心がける状況を目指しましょう。 まとめ 交通事故は、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生します。そのため、運転に慣れている人であっても、ちょっとした気の緩みから交通事故を起こしてしまうことも珍しくありません。 交通事故を減らすためには、道路環境や交通状況はわずか数秒の間に状況が大きく変わる可能性があることを理解し、いつも適度な緊張感をもって運転することが大切です。 また、業務に自動車を使用する企業では、ハンドルを握る運転者自身が安全運転について高い意識をもつだけでなく、従業員をバックアップする企業側の姿勢や協力も必要です。自社に合う方法で従業員に安全運転を促すと同時に、心身の状態からサポートし、従業員が安心して業務を遂行できる環境を整えることが大切です。 監修者 齊藤 優太 教習指導員(普通自動車一種・普通自動二輪)の資格を持つ自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト。 安全運転のレクチャーや安全運転に関する知識や技術の情報発信や執筆活動などを行っている。教習指導員のほかにも、応急救護指導員や運転適性検査指導員などの資格を保有している。 大学卒業後、国産車販売店の営業職、教習指導員、中古車買取業務など、さまざまな職歴を経てフリーランスとなる。 パンフレットを見る> この記事を書いた人 あいおいニッセイ同和損保 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、個人及び法人向けに、テレマティクス自動車保険をはじめとした最新の保険や生活の安全にかかわる情報、企業のリスクマネジメントノウハウを提供しています。 よく読まれている記事 【赤ちゃんを抱っこして車に乗っても良いの?】法律や正しい乗り方を紹介 自動車・安全運転 2025.04.30 子どもを助手席に乗せていいのは何歳から?リスクや注意点を徹底解説 自動車・安全運転 2025.04.30 妊婦さんの運転は大丈夫?妊娠中なら知っておきたいポイントを徹底解説! 自動車・安全運転 2025.04.30 【車での長距離移動】子どもが楽しく暇つぶしできる方法を紹介! 自動車・安全運転 2025.05.30