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あおり運転と判断される行為とは?通報にナンバーは必要?

  • 自動車・安全運転

pixta_90106053_Mあおり運転とは、他の車両に対して威圧的・挑発的な行為をして通行を妨げる、悪質な行為です。自分が通常通り安全運転をしていても、急にあおり運転の被害にあう可能性はゼロではありません。この記事では、具体的にどのような行為があおり運転とみなされるか解説します。あおり運転の加害者に対する罰則や、被害者になった際の対処方法も解説しているため、いざというときに役立ててください。

あおり運転とは何か

あおり運転とは、他の車両の通行を妨害する目的で行われる、特定の違反行為のことです。特に威圧的・挑発的な行為で他の車両に危険を生じさせる運転をした場合、あおり運転となります。

あおり運転になる行為とは

では、具体的にどのような行為があおり運転にあたるのでしょうか。ここからは、2020年6月に施行された妨害運転罪に該当する10類型の違反(一定の違反)やあおり運転に関連した危険行為について解説します。

あおり(妨害)運転の対象となる10類型の違反

まず、法的にあおり(妨害)運転の対象となる違反行為をまとめて紹介します。

1.車間距離不保持(車間距離を極端に詰める)
2.急ブレーキ禁止違反(急ブレーキをかける)
3.進路変更禁止違反(急な進路変更を行う)
4.追い越し違反(危険な追い越し)
5.通行区分違反(対向車線にはみ出す)
6.安全運転義務違反(幅寄せや蛇行運転)
7.減光等義務違反(執ようなパッシング)
8.警音器使用制限違反(不必要なクラクション)
9.最低速度違反(高速道路での低速走行)
10.高速自動車国道等駐停車違反(高速道路での駐停車)

上記のいずれか1つでも行うと、あおり運転とみなされます。

あおり運転に関連した危険行為

次に、あおり運転の場面でよく見られる危険行為について解説します。

蛇行運転をする

蛇行運転とは、右や左に曲がりくねりながら走行する運転です。他の車両の前方または後方で蛇行運転を行い、通行を妨害します。蛇行運転は、事故につながる恐れがあるだけでなく、事故を誘発させる可能性がある危険な行為です。

ものを投げつける

車両にものを投げつける行為も妨害運転として認められる可能性があります。車両にものを投げつける行為は危険であるだけでなく、他者も巻き込んでしまう可能性が高い危険な行為です。また、ものを投げつける行為は道路交通法違反となります。

相手の車を殴る

あおり運転の加害者が車両から降りてきて、相手(被害者)の車を殴ったり傷つけたりした場合、暴行罪や器物破損罪が適用される場合があります。

暴言を吐く

あおり運転してきた車両の運転者(加害者)が相手の車両の運転者(被害者)に対して暴言を吐いた場合、脅迫罪となる可能性があります。

あおり運転の罰則一覧

2022年の道路交通法の改正により、あおり運転を含む妨害行為について罰則が設けられました。道路交通法第117条の2で定められているあおり運転の罰則は、以下のとおりです。

  罰則 違反
点数
 
行政処分
あおり運転
(交通の危険のおそれ)
をした場合
 
3年以下の懲役または50万円以下の罰金   25点 免許取消し
(欠格期間2年)
 
あおり運転により
著しい交通の危険を
発生させた場合
5年以下の懲役または100万円以下の罰金 25点 免許取消し
(欠格期間3年)
 

なお、免許の取消し期間については、累積点数や前歴によって最大10年まで延長される可能性があります。

 

(参考)危険!「あおり運転」はやめましょう|警察庁

危険運転致死傷罪等の適用件数はどれくらい?

あおり運転が原因の人身事故が発生した場合は、危険運転致死傷罪が適用される場合があります。政府が公開している統計によると、2023年の危険運転致死傷罪等の適用件数は以下のとおりです。

  致傷 致死 小計  
第2条 アルコールの影響  

181  

11  

192  

薬物の影響  

17  

0  

1 7  

高速度

23  

8  

31  

無技能  

2  

1  

3  

妨害目的  

43  

4  

4 7  

殊更信号無視 

180  

2  

182  

通行禁止道路進行

12  

0  

12  

合計

458  

26  

484  

第3条

アルコールの影響  

193  

5  

198  

薬物の影響  

23  

0  

23  

一定の病気  

76  

2  

78  

合計  

292  

7  

299  

総計

75  

3 3  

783  

あおり運転の被害者になった場合の対処方法とは

あおり運転の被害を受けた場合、重要なのは冷静に対処することです。ここでは、あおり運転の被害者になったときに、とるべき対処方法を解説します。

走行中の緊急電話は違反対象外

通常、走行中の携帯電話の使用は禁止されています。ただし、緊急時(傷病者の救護や公共の安全の維持のためなどやむを得ない場合)は携帯電話を使用しても違反にはなりません(道路交通法第71条5の5の例外規定)。

あおり運転の通報は後日でも可能ではありますが、即時通報した方が、加害者の確保や取り締まりにつながりやすい傾向があります。なるべく記憶が鮮明に残っているうちに、警察へ通報しましょう。

ナンバー・車種を覚えておく

あおり運転を通報する際は、加害者の車のナンバーや車種を伝えるとスムーズです。あおり運転の被害を受けている最中は車の情報や運転者の特徴などを認識するのが難しい場合もありますが、可能な限り相手の情報を記憶しておくよう努めてください。

車種が分からなければ、メーカー、車の形、色などの特徴だけでも覚えておくとよいでしょう。

また、ドライブレコーダーが装着されている場合は、あおり運転の被害を受けているときの映像が上書きされて消えてしまわないよう、安全な場所に車を止めた後にデータを保存しておくと安心です。

窓を閉めてドアのカギを閉める

あおり運転の被害にあっていることに気付いたら、安全のために車の窓を閉めてドアをロックしましょう。

加害者が車から降りてきて怒鳴ったり襲いかかってきたりした場合に被害に遭わないため、警察が到着するまで車から降りないようにしてください。

安全な場所で停車する

どうしても停車が必要なときは、安全な場所を選びましょう。事故を防ぐためにも、停車時の安全確認を怠らないようにしてください。また、車を止めるときは急停車せず、周囲の交通の迷惑にならないよう十分に気をつけましょう。

焦らず冷静に対応する

あおり運転の被害を受けると混乱してしまう人も少なくありませんが、加害者をエスカレートさせないようにするためにも、被害者が冷静になることが重要です。冷静な対応ができれば、他の車両への被害拡大を防ぐことができます。

加害者の個人情報につながる内容はインターネットに投稿しない

あおり運転の被害者となった際、加害者の顔や車のナンバーが映った画像や映像をインターネット上に投稿するのは控えましょう。これらの情報は加害者の個人情報の特定や拡散につながります。

 

もしも、個人情報が特定されてしまうと、プライバシーの侵害や肖像権侵害にあたり、法的責任を問われる可能性があります。そのため、個人情報につながりかねない情報をインターネット上に無許可で拡散するのは控えたほうがよいでしょう。

あおり運転が原因で負傷したら慰謝料を請求できる

あおり運転の被害を受けて負傷した場合は、加害者に対して慰謝料を請求することが可能です。慰謝料を請求するためには、あおり運転の被害によって負傷したことを証明する診断書を提出する必要があります。

ただし、慰謝料として請求できる金額は状況によって異なります。ケースによっては慰謝料を受け取れない可能性もあるため、一度弁護士に相談するとよいでしょう。

まとめ

あおり運転は、2020年に罰則が創設され、幅寄せをしたり車間距離を詰めたりするなどの危険な運転だけでなく、必要のない場面でのクラクションやパッシングなども罰則の対象となりました。

あおり運転は、事故を誘発する恐れがある危険な行為です。あおり運転の被害を受けた場合は、いち早く警察へ通報し、被害が拡大しないよう冷静に対応することが重要です。

 

 

監修者

齊藤 優太

教習指導員(普通自動車一種・普通自動二輪)の資格を持つ自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト。

 

安全運転のレクチャーや安全運転に関する知識や技術の情報発信や執筆活動などを行っている。教習指導員のほかにも、応急救護指導員や運転適性検査指導員などの資格を保有している。

 

大学卒業後、国産車販売店の営業職、教習指導員、中古車買取業務など、さまざまな職歴を経てフリーランスとなる。

この記事を書いた人
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