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産休手当の基本的な受給条件とは?出産育児一時金との違いや申請の流れを解説

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pixta_114078843_M産休手当とは、出産に際して産休を取る女性に対し、健康保険から給付されるお金です。基本的に産休中は勤務時の給与が支払われないため、産休手当が大きな収入減になり得ます。この記事では、産休手当の概要や受給条件を解説します。申請方法なども解説するため、産休手当の受給に役立ててください。

産休中は基本的に給与が支払われない

通常、会社に在籍している女性が産休を取った場合、産休で働いていない期間は給与が支払われません。これは「給与は労働の対価として支払われるものである」とする観点から、ほとんどの会社で規定されています。ただし、公務員の場合は給与の一部が支払われる他、自社の規定に基づき福利厚生の一環として給与の一部を支払う会社もあります。

産休手当とは

産休手当とは、健康保険に加入する女性が、出産で会社を休んだ場合に受け取ることができる給付金です 。産休手当の正式名称は、出産手当金といいます。労働基準法では、出産前 6 週間以内に女性が会社に休業を請求した場合、会社は就業させてはいけないことが定められています。また、産後 8 週間(本人が希望し、医師が認可した場合は 6 週間)は基本的に就業が認められません。

 

産休手当は、上記期間中の生活の保障を目的としています。

産休手当と出産育児一時金の違い

出産育児一時金は、出産そのものに対して支給される給付金です。健康保険の被保険者本人の出産だけでなく、被扶養者の出産も対象となります。産休手当の場合は、妊婦本人が対象者となり、本人が働いている会社の健康保険から支給されます。

 

【産休手当と出産育児金における対象者、支給金額の決まり方】

  対象者   支給金額の決まり方  

産休手当  

(出産手当金)

妊娠 4 か月( 85 日)以上で出産をした、会社等に勤務し健康保険に加入している妊婦本人  

※任意継続被保険者を除く

標準報酬日額 ×2/3× 産休の日数  

出産育児一時金

妊娠 4 か月( 85 日)以上で出産をした、会社等に勤務し健康保険に加入している妊婦本人  

※任意継続被保険者を除く  

胎児 1 人あたり 50 万円  

※妊娠週数が 22 週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は 48.8 万円

産休手当を受給するメリット

出産前後の働けない期間も、産休手当を受給することによって経済的な不安が軽減されます。そのことによって、肉体的、精神的に安定した出産を迎えられる可能性が高まるでしょう。一方会社としては、産休手当を出すことで出産による従業員の退職を防止し、職場復帰が見込めるなどのメリットがあります。

産休手当の受給条件

産休手当を受給するには、どのような条件があるのでしょうか。以下では、主な 3つの受給条件について解説します。

受給条件1:会社の健康保険に加入している

産休手当は、勤務先の健康保険に加入していないと受給できません。勤務先の健康保険とは、全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合、共済組合などで、勤務先によって異なります。なお、パートであっても、一定の条件を満たせば健康保険に加入できます。健康保険や厚生年金保険を含む「社会保険」の加入条件は、以下のとおりです。

週の所定労働時間が20時間以上であること
雇用の見込みが2か月を超えること
月給賃金が8.8万円以上であること
学生ではないこと
51名以上が勤務する会社であること

受給条件2:妊娠4か月以降に出産する

産休手当は、妊娠 4か月以降の出産のみが対象となっています。これは、健康保険制度において、「出産」とは妊娠 4か月( 85日)以後の出産(早産)、死産(流産)、人口妊娠中絶と定義されているためです。したがって、妊娠 4か月未満で出産した場合は、産休手当の支給対象には該当しないことになります。

 

※参考:出産に関する給付|全国健康保険協会 

受給条件3:出産前後に給与が支給されていない

出産手当の受給条件の1つに、出産のために会社を休み、その期間中に給与を受け取っていないことが定められています。会社の勤務規定で対象期間中に給与を受け取っており、かつその給与が出産手当を上回る場合は、出産手当の支給対象外になるため注意が必要です。なお、給与が出るものの出産手当よりも少額の場合は、差額を受け取ることができます。

 

※参考: 出産手当金について|全国健康保険協会

産休手当が支給対象外のケース

一見して産休手当を受け取れるようであっても、以下のようなケースでは、産休手当の支給対象外となります。

 

※参考:出産手当金について|全国健康保険協会 

※参考:出産に関する給付|全国健康保険協会 

出産手当より多く給与を受け取っている場合

前述のとおり、出産手当の支給対象期間中に給与を受け取っており、出産手当よりも給与の金額が多い場合は、出産手当の支給対象外となります。なお、給与以外であっても、産休手当を計算する期間中に副業など何らかの収入が発生すると、産休手当の受給対象外になる場合があるため、注意しましょう。

国民健康保険に加入している場合

出産する本人が国民健康保険に加入している場合、産休手当の対象外となります。フリーランスや個人事業主などは、日常的に給与を受け取っているとされていないため、産休手当による補填も必要ないと考えられています。一方で、体調に問題がなければ、産休期間中に収入を得ても問題ないともいえるでしょう。産休手当は対象外となりますが、出産育児一時金は、国民健康保険加入者も支給されます。

会社の保険加入者でなく配偶者が出産する場合

会社の健康保険に加入している男性の配偶者が出産する場合も、産休手当の支給対象外となります。例えば、夫の扶養に入っている場合、妻は出産をしても産休手当は受け取れません。産休手当は働けない間の給与を補填するという概念のもとにあるため、保険加入者が働いており、給与を得られる状況は該当しません。一方、国民健康保険加入者と同じく、出産育児一時金は受給できます。

任意継続の被保険者である場合

出産する本人が健康保険を任意継続している場合も、支給対象外です。健康保険の任意継続とは、退職しても一定の条件を満たしていれば、退職した会社の健康保険に最長 2年間加入できる制度です。この場合、加入している健康保険は退職した会社のものですが、実際にその会社から給与を得ていないため、産休手当の支給対象外となります。こちらの場合も、出産育児一時金は受給できます。

出産に伴って退職する場合、出産手当は受け取れる?

出産に伴って会社を退職した場合でも、退職後2年以内に受給申請を行い、かつ受給条件を満たしていれば、産休手当の受給が可能です。

出産手当を受け取るためには、退職日まで1年以上健康保険に継続加入している必要があります。加えて、退職日が、出産予定日以前42日前(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以後56日目までの期間に入っていない場合は、支給対象外です。

気を付けなくてはいけないのは、退職日に出勤すると、支給対象外となってしまうということです。

退職後の出産手当金受給継続条件に、資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていることという項目があるため、退職日には休暇に入っている状態でないといけません。出勤してしまうとその条件を満たさなくなってしまうため、受給できなくなってしまいます。

退職後に出産手当金の申請を考えている場合、退職日は有給休暇に当てましょう。

 

※参考:出産手当金について|全国健康保険協会

 

(例)


✅ 受給できるケース
・出産予定日:10月15日
・ 退職日:9月10日(産前42日以内)
・退職日は有給休暇を取得して出勤していない
→ この場合、退職時点で「出産のために休業している」とみなされるため、退職後も出産手当金の受給が可能です。

 


❌ 受給できないケース
・出産予定日:10月15日
・退職日:9月10日(産前42日以内)
・退職日に出勤して業務を行った
→ この場合、「出産のために休業している」とはみなされず、退職後の出産手当金は支給対象外になります。

産休手当の計算方法を確認

1 日あたりの産休手当の計算方法は、「標準報酬日額 × 2/3 」です。標準報酬日額は、「支給開始日以前 12 か月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30 日」で計算します。なお、支給開始日以前の期間が 12 か月よりも少ない場合は、下記のいずれか低い方の数値が採用されます。

 

1. 支給開始日の属する月以前の、継続した各月の標準報酬月額の平均額  

2. 標準報酬月額の平均額(支給開始日が 2019 3 31 日までの場合は 28 万円、支給開始日が 2019 4 1 日以降の場合は 30 万円)

 

※参考: 出産手当金について|全国健康保険協会

出産手当の申請ステップ

出産手当の申請を行うには、一体どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、出産手当の申請ステップについて解説します。

1.必要書類を用意する

出産手当の申請には、健康保険出産手当金支給申請書が必要です。会社に出産や産休を申告すると、会社の担当者から申請書を渡されるケースが一般的でしょう。担当者からもらえなかった場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)などの Web サイトから取得できます。

2.健康保険出産手当金支給申請書を記入する

健康保険出産手当金支給申請書の被保険者に関する欄に、必要な情報を記入します。ここで必要な情報は、被保険者(申請者)情報、振込先指定口座、マイナンバーなどです。書類を見ながら、間違いのないよう記入しましょう。

 

※参考: 健康保険出産手当金支給申請書|全国健康保険協会

3.医師・助産師に必要事項の記入を依頼する

妊婦健診の際などに、医師や助産師へ、健康保険出産手当金支給申請書の記入を依頼します。医療機関へ書類を持参しましょう。健康保険出産手当金支給申請書の記入には、文書料がかかる場合もあります。不安な場合は、医療機関へ確認してください。

4.会社に必要事項を記入後、提出してもらう

必要事項の記入が済んだら、会社の担当者に健康保険出産手当金支給申請書を渡し、事業主証明欄を記入してもらいます。記入が完了したら、会社から健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)などに、健康保険出産手当金支給申請書を提出します。

産休手当に関するQ&A

ここでは、産休手当関連のよくある質問にお答えします。

対象期間はいつですか?

産休手当の対象期間は、出産前 42 日から出産日の翌日以降 56 日までの間で、実際に休みを取り給料の支払いがない期間、または出産手当よりも少なかった期間です。産休を取得したことにより給与の支払いがなければ、産休手当の全額を受け取れます。また出産手当よりも少額の給与が支払われた場合は、出産手当との差額を受け取ることが可能です。

 

※参考: 出産手当金について|全国健康保険協会

申請を忘れていた場合、後から手続きできますか?

出産手当の申請を忘れていた場合でも、後から手続きは可能です。申請期限は、休業した日の翌日から 2 年以内と定められています。 2 年が経過すると、 1 日ごとに受給権利が消滅するため、 もし申請を忘れていても、 2 年が経過していない場合は、気づいた時点で申請を行うことをおすすめします。

産休手当が振り込まれるのはいつですか?

産休手当の振り込みは、出産してから数か月後です。申請後 1 2 か月ほどが一般的ですが、会社によってタイミングは異なります。産休手当は、申請書に記載した銀行口座にまとめて振り込まれます。出産後に、タイミングを見てチェックしましょう。

まとめ

産休手当は、一定の条件を満たすことができれば受け取れる手当金です。受給には申請が必要なので、漏れのないようにしましょう。会社に勤めている場合は、産休を申請すれば担当者から案内があることが多いようですが、案内がなかった場合は担当者への問合わせをおすすめします。

 

産休手当の申請をし忘れていた場合でも、休業開始から2年間は申請が可能です。また、退職してしまった場合でも条件があえば申請できるため、確認をおすすめします。産休をとっている間は、ほとんどのケースで給与が支払われません。産休手当で収入を補填し、子育てに役立てましょう。

この記事を書いた人
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